贖罪

晴れた空に雲が浮かんでいる

昨日ほどの風はなくて

窓のカーテン越しに、おひさまの

柔らかい日差しに包まれている

 

遠い昔の話だけど

長くお世話になった人がいて

いつもその人のことを思い出す

 

色々な事を教えてくれた

色々な所へ連れて行ってくれた

色々な物を与えてくれた

 

その人が居たから

私の人生は豊かになったと思う

 

私が嫌がることは絶対にせず

私が喜ぶことを常に探して

無理をしてでも

私のことを一番に考えてくれた

困っていると駆け付けて助けてくれた

本当に大切にしてもらった

 

なのに私はいつもわがままを言って

悪態をついて自分勝手に振る舞っていた

 

そんな私を、いつの時もどんな時も

やさしく大きく包んでくれていた

20年もの長いお付き合いだった

 

あの日、突然の出来事で

音信が途絶えた

私はその時初めて

今まで自分がしてきたことを振り返り

反省して、すごく後悔した

 

それから十年経って

偶然、また切れた糸が繋がりそうになった

また会えるというところまでいった

 

が...

その人は

もう二度と会えない人となってしまった

 

私より5歳年上の人

向こうの世界に逝くなんて

まだ早いよ

 

もう一度だけでいい、会って

ごめんなさいと心から謝りたかったのに

ありがとうと感謝の言葉を伝えたかったのに

 

私が会いに行けない

遠い世界へ旅立ってしまった

 

その人からいただいたものは

いまも大切に持っている

 

思い出の場所は

変わったり無くなってしまったりしたけれど

私の心の中に鮮やかに残っている

 

悔やんでも悔やんでも悔やみきれない

私は死ぬまで後悔し続けるだろう

 

人の心を傷つけたことに対して

償うことができない

大きく重く深い苦しみ

贖罪の日々はこの先も続く